読書感覚文
主観と感覚のままに書き殴ります。ネタバレは、未読の方が今後読んでも楽しめる範囲で
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スレイヤーズ!
スレイヤーズ!
第1回ファンタジア大賞<準入選>



(あらすじ)
「悪人に人権なんかねぇ!」と豪語する腕利きの魔道士リナはある日、野盗のねぐらからお宝を盗み出す。野盗を蹴散らすなんざ朝飯前。しかし、お宝の中に訳ありアイテムが紛れ込んでいたらしく、リナは追われる身となる。

・面白さの正道
・これぞ純ライトエンターテイメント
・ライトノベルに求めるもの

強い主人公、新たなる敵、決闘、敗北、再起、クライマックス、ハッピーエンド。
展開が本当に正しい順序で並べられているんです!
主人公が敵から逃げているシーンから始まるのが素晴らしい。
こういうシーンは、ベタだろうがお約束だろうが物語のフックになります。
冒頭で「お? 面白そうなこと始まるぞ」と読者に思わせることがいかに大切か!

ゴールを序盤に示しておくことで、読者は興味を保てます。
今何をしているのか?
何のためのシーンか?
きちんと読者が追いつけるように示すことがこんなにも重要なのかと、改めて思い知らされました。

外しのギャグが笑えます。
シモネタを含みますが、
p.129からの「犯す」「犯さない」のくだりはかなり秀逸。オチも見事。

ギャグをやってもキャラクターがぶれない。
↑これ、実はむちゃくちゃ難しいことです。コメディ小説でときどき遭遇する「がっかりキャラ崩壊」がありません!

総じて、読み終えた後の満足度は非常に高かったです。
たたみかける展開にギャグを挟み込んで息をつかせない。クライマックスの直前にきちんとシリアスシーンをぶっこんで雰囲気を落とし、盛り上げる準備をしておく。基本に忠実です!
なにより素晴らしいのはこの文量。250ページでこれほど展開があってギャグがあってこの満足度なら、文句なしにオススメです。

最後に本書末の解説に言及。
p.258
「選考委員が思わず目を見張るような新しいイメージをひとつでも描くことができたら、『スレイヤーズ!』は大賞に輝いたかもしれません」
ファンタジーにおいては“賢者の石”ではない“何か”、ミステリーにおいては“アリバイ”“密室”ではない“何か”を発明する必要があるというのでしょう。いつか打開されると信じて待ち続けたいです。


主観:(+)

オススメ度:A


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できそこないの魔獣錬磨師
できそこないの魔獣錬磨師
第27回ファンタジア大賞<金賞>



(あらすじ)
スライムトレーナーのレインがドラゴントレーナーのエルニアに喧嘩を売られる。勝利したレインはエルニアに交際を迫られ困る。

・モンスター萌え小説としては☆5つ
・ラストのたたみかけで、良い小説を読んだ気になれる
・着地は綺麗

登場するモンスターが可愛いです。
スライムのペムペムはもはやヒロイン級。
ホースドラゴンのキールさんの人間臭さはシュールで面白い。心の声でレインと掛け合いをするシーンは笑えます。

第一章の決闘申し込み、第二章のドラゴン遭遇、第三章p.192の突然の宣告、第四章のp.258のにやり。
しっかり物語のエンジンをかけるポイントが定まっているので、安心して読み進められます。
非常に技術のある作者さんだと思います。

p.265の昇華ロジックは面白かった。
最弱と言われるスライムが、なぜ他の強敵と戦えるのか?
無謀に見えた主人公の行動が、実は理にかなっていたという事実をひとつ加えるだけで、物語の説得力が大きく変わってきます。お見事!

ここからちょっとまずいと感じたところを紹介。
ネタバレを含みます。

三人称で書かれていますが、視点のブレはちょっと気になりました。気になるというか、ノイズでした。こんなのでページをめくる手をとめさせないで!
完全三人称なら客観的判断できないキャラの内面吐露は控えるべきですし、疑似三人称なら一文中やパラグラフ中に視点を動かすべきではありません。
p.32
「自分に集まった好奇の視線に、アリカが視線を泳がせながら自信なさそうに身を引く。」(アリカ、アリカ以外の視点)
p.33
「二人のやり取りなど露知らず、好奇心を抑えられなくなったレインが、じれったそうに身体を揺すりながらクーラーボックスを指差す。」(レイン以外、レイン、レイン以外の視点)
p.34
「イメージトレーニングを二、三飛び越えてきたレインの言葉に、アリカがビクッと身体を縮こまらせる。ただでさえ小柄なアリカがますますもって小さくなった。」(アリカ、アリカ以外の視点)
↑の三行はすべて同じパラグラフです。
断定的な主体表現と、「じれったそう」など様態を示す客体表現が混ざっているせいで気持ち悪く感じるのかもしれません。

決闘シーン、第二章の課題のシーン、長かったです。
おしゃべり、単体のギャグとしては笑えるのですが、展開がいちいち止まるのがもどかしかったです。

第三章p.202でレインくんがぶち切れるシーンはさすがに強引すぎです。
実はここ、アリエルさんの思惑は別にあったというオチを第四章でつけるためのミスリード。レインくんの独り相撲でした、とオチをつけるためのシーン。その意図はわかります。
にしても!
起因となるp.201のアリエルさんの「まぁ、落ち込むことはないわよ」に続く台詞が弱すぎる。アリエルさんが、それほど「生まれ持った資質至上主義」に見えないのです。
そのせいで、このシーン、
レインくんが常日頃から溜め込んできた不満をぶちまけるために、目上の人間の言葉尻を取っているように見えてしまうのです。
レインくんが勝手にアリエルさんの言葉を拡大解釈して、こじつけて怒っているように見えるのです。
正直、初めて読んだときは「ヒステリー起こした被害妄想野郎」の八つ当たりに見え、呆れてしまいました。
しかも、この男、「言ってやったぜ!」とふんっと鼻息まで立てます。
確かにゴブリン使いの取り巻きにバカにされるシーンが第一章にあるので、そういう不満をレインくんが抱くのはわかります。が、アリエルさんがそいつらと同類だとはこの時点で判断できない。判断できるように描かれていない。
それこそ作者さんの狙い通りなのかも知れません。
が、第四章のどんでん返しのために、主人公のレインくんをここまで貶める必要はないと思います。
事実、単細胞熱血漢キャラの説得力は損なわれている。単細胞熱血漢キャラが、相手の直接表現に対してついカッとなるというのならわかります。しかし、相手の言葉の意図をくみ取って言ってもないことに対して切れたのでは、「単細胞である」という自分のキャラを守るために反応したように見える。単細胞キャラである自分に酔っているように見える。計算高い女の「私って天然なんだぁ~」の男版「俺って単細胞だからさぁ~」というナルシズムにさえ見えてしまいました。
ここは、アリエルさんの方をもっと嫌なキャラに見せてもよかったのではないでしょうか?
どんなに嫌なキャラをここで演じたとしても、ラストで「妹のためを思って」という台詞(p.125「親友のためを思って」の対になる)を吐かせれば、万事綺麗に解決。アリエルさんの異常な妹愛というのも、もっと強調できたのではないでしょうか。


主観:(-)

オススメ度:B


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災厄戦線のオーバーロード
災厄戦線のオーバーロード
第27回ファンタジア大賞<金賞>



(あらすじ)
最優秀ポンコツ訓練生琴音が、若き最強室長笹宮に目をつけられる。彼の指導の下、彼女は自分なりの戦い方を身につけてゆく。

・キャラクター設計がすばらしい
・プロットがお見事
・明白な欠陥を抱えながらも、ちゃんと面白い!

キャラクターが非常に立体的。
ヒロインの琴音ちゃん。最優秀訓練生でありながら、現場で二ヶ月経っても昇格できず、劣等感を抱いているという初期設定がいい!
またサブキャラにもぬかりなし。
それぞれのキャラの性質に沿ったギャグが展開されるため、ちゃんと笑える!
壱彦くんの言葉を知らないネタしかり、雪子さんの何言ってるのかわかんないネタしかり。
シリアスなシーンでも、きちんとキャラクターの個性に則っていれば、生きたギャグとしてクッションの役割を果たす!
本作はそれを証明してくれています。

プロットが明確に面白いです。
首長竜に襲われる→助けてくれた男に目をつけられる→男のとりまきの女にも目をつけられる→女と決闘する話を勝手にとりつけられる→自分も強くなりたいと奮起→決闘当日に再び災難に見舞われる
p.36にて琴音ちゃんの不運属性が示されます。
物語に勢いをつけるために絶対的に必要なヒヤヒヤ展開が、それですべて辻褄が合うように施されているのが憎い。
この運というネタに関してのオチも綺麗でした。

ビニール傘が透明である理由が結構怖い。
だからこそ、目の前の敵から目を逸らさない、逃げない、ということに繋がるのでしょう。テーマとすごく合っていると思います。

……ちゃんとしているからこそ、本当にもったいないです。
読了後にこんなに悔しい思いをしたのは久しぶりかも知れません。

本作、このストーリーテリングの形を取るならば、絶対に疑似三人称で書かないと駄目でしょう?!
一人称であんなに視点が変わったら、どう見ても読みづらすぎです。
「私」「わたし」「あたし」っていくら書き分けたからって駄目。空行ごとにいちいち誰視点に変わったのか考えないといけないのは、はっきり苦痛です。
さらにその上でいきなり過去の話に飛んだりしたらもうしっちゃかめっちゃかです。
途中で嫌になる読者がいてもまったく不思議じゃありません。

このプロットなら、琴音ちゃんの一人称でずっと通して書くのもありだったと思います。
むしろその方が、最終的にテーマが綺麗にまとまって見えるように描きやすいのではないでしょうか。
ポンコツ琴音ちゃんが、頭のおかしい最強室長にしごかれて、自己実現を果たす。琴音ちゃんの内面をしっかりと詰めていく路線もあったのではないでしょうか。

笹宮室長が主人公だという説があるようですが、正気ですか?
彼は、すごい状態で登場して、すごいこと本編でやって、すごいなぁと称えられて去ってゆきます。しかも共感を呼びにくいタイプの最強変人。
小説の主人公として赤点レベルです。
彼の内面を描く度に、彼の魅力が下がります。
手の内は読者に明かさずに、厳しく変質的に琴音ちゃんに当たり続けてよかったキャラだと思います。
彼の過去とか思惑なんて、秘書の人に適当に台詞で喋らせておけば、読者の想像もかき立てられます!
(漫画の『アカギ』の場合、南条さん等の取り巻きが語り部であることに気付いて!)

p.107で三バカを壱彦くんが殴るシーン。
それ、琴音ちゃんの知らない場所でやったら駄目でしょう。
三バカをぎゃふんと言わせるのは琴音ちゃんの役割です。
テーマ的に琴音ちゃんが成長する機会をただ奪うだけの愚行。本当にもったいないです。
さらにこのシーン「俺」という一人称で書かれているので、初見時、一瞬笹宮室長が出てきたようにも錯覚して困惑しました。

総じて、
表現方法でかなり損をしている作品です。
第一章終了時点までの展開の勢いがなければ危うく「オススメ度:C」ってつけるところでした。
本当にもったいないです。ただ、これが作家性だと言うのなら、……諦めます。


主観:(+)

オススメ度:B


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俺の妹を世界一の魔砲神姫にする方法
俺の妹を世界一の魔砲神姫にする方法
第27回ファンタジア大賞<銀賞>



(あらすじ)
世界一の魔砲使いタケヒロは過度なシスコンだった。妹のナオが隠し事をしていることに気付いた彼は、友人の女子高生モリノを脅し、ストーキング行為に協力させる。ナオの想いを知ったタケヒロは、ナオの夢を叶えてやろうと尽力する。彼が目指すのは「まーるい世界」。

・ヒロインの魅力はある
・あらすじと本編の齟齬にびっくり
・あまりにも構成とテーマに難あり

ヒロインの新井場さんがかわいい。
弱みを握られて仕方なく協力させられる感じがgood!
秀でた能力を持った子が嫌々悪事に付き合わされるというシチュエーションは、なかなか面白かったです。そこからさらに転げ落ちていくともっと面白くなったんですが……。読んでいる最中は期待して楽しく読み進めることができました。

かなり問題の多い作品です。
もしかすると推敲の過程で誰かに余計なことを言われたのではないかと邪推するほど。

まず構成。
疑似三人称でころころ視点移動、時間移動がありすぎて読みづらい。
読みづらさを増強しているのが、空行にある「*」。たとえばp.173、時間移動も視点移動も場所移動もないのに空行「*」は混乱と苛立ちを招くだけでした。せめてちゃんと使い分けしてほしかった。

表現がくどい。
p.6「
(略)それも、何処かにスクリーンがあるわけではなく、空気しかない宙にである。

p.8「
(略)女子高生は肩の力がガクッと抜けた。
『あんたねぇ……』
 女子高生は呆れかえった。

p.198「
 奈緒美は座っていた。この街は坂が多く、一番上まであがると街中が見渡せる丘がある。奈緒美が座っていたのはそんな場所だった。

重複表現、まわりくどい言い回しは必ずしも悪ではありません(魅力を生むことだってたくさんあります)が、何度も続くと読みづらいだけです。

【隅付き括弧】の使い方について。
p.27で【奇跡】って出てきたときは、何かこの世界独自の用語なのかと思いました。【魔砲戦騎】【イグニゾン】【魔法使い】等と同じく。p.31でも【奇跡】と繰り返され、読む方としては「この【奇跡】なるものはいったい何のことを指しているのだろう?」と思いますよ。
しかし、p.92で妹の台詞内に出てくる「奇跡」には【隅付き括弧】がついていない。伏線かと思いましたよ。それがp.120で新井場さんの台詞で登場した「奇跡」にも【隅付き括弧】がついてない。しかも、物語上「奇跡」という単語が、我々が知っている「奇跡」という意味でしか使われない。
氷解するのがp.161。オグマちゃん視点の地の文「けれどまさかここで【それ】を見つけるとは思わなかった。」
強調したかっただけかーい!!
ルビで振る「、、」と同じ意図で使ってるだけなんですよね。作者さん。こんな二重の意図で使ったら混乱を招くだけだと思います。担当さん、ルビ振り機能のある『一太郎』を下書き段階で貸してあげてください。
しかもp.27で「奇跡」を強調するのって、そんなに意味がないんですよ。ラストの布石ということは百も承知です。が、ここで強調されても違和感の方が勝ってしまい、むしろノイズになると思います。

p.145の挿絵は困り眉毛で引きつった笑顔じゃないと駄目。
絵師さんにどんな指示を出してこうなったのか……。ここは間違いなく担当さんの責任。

テーマについて。
主人公タカヒロの監視行為は、善意でやったことだから許される(?)
こういう描き方って、タカヒロの唱える「まーるい世界」をものすごく不快に見せている気がしてなりません。
隠し事禁止! 嘘は絶対悪! みんながコミュニケーションを通してわかり合えば、平和への一歩!
なんだか押しつけがましく感じられるのです。
で、この「押しつけがましく感じられる」人種を否定している部分に、傲慢さを感じてしまうのです。
この主人公がp.179にて誇らしげに言う台詞。
「ああやって仲間と話しているうちに、いっしょに何かやっているうちに、みんなのことがよくわかってくる」(中略)
「そして最後に自分が何者だかわかってくる」(中略)
「ああいう一見くだらないように見えることをやっていく中で、やっと自分がわかるんじゃないかって。それで、次に、ようやく世界のことがわかるんだよ」
他者のことや世の中のことをわかった気になっている勘違い野郎の上から目線の説教を読まされている感じがして、かなり不愉快でした。
主人公を中途半端な未熟者に設定したことによる失敗です。
成長の余地を持たせたかったのはわかります。が、そのせいでキャラクターの説得力が失われたら元も子もないでしょう。
さらに、本質的には違うはずのテーマをいくつもあっちこっちに散らかしているせいで、何が言いたいのかわかりにくくなってしまっています。

ラストの迷シーン。
よくわからない空間でよくわからない人から妹ちゃんがお説教を受ける。お説教を受けたら奇跡が起きる。
一番大事なところにもってきているので、これがホントにやりたかったテーマなのでしょう。やりたかったのだと仮定します。
だったら!
主人公の自己実現であるとか、偏愛であるとか、個人的なテーマは別作品にとっておいて、
本作では、
こんな奴いねーよレベルの完璧超人でもいいからきちんと成熟した主人公を設定しておいて、
単純な勧善懲悪のプロットを軸にテーマを昇華させる方が、綺麗にまとまったんじゃないかと思います。
間違っても『兄が妹の生活を監視して何が悪い!?』『妹育成アクションコメディ』と帯つけて出すような作品ではありません。
もしその帯に拘りたいのであれば、
「クズ兄貴がちょっと成長して妹の気持ちを理解するようになる」という程度の軽い結末でオチのつくおバカコメディに振り切るべきだったと思います。

「妹愛」「妹の自己実現」「タカヒロの世直し」「タカヒロの成長」「居場所」「奇跡」「他者を思いやる心」
テーマを絞らずにぐっちゃぐちゃに混ぜ込んだ結果、「何が言いたいのかよくわからないけどなんか説教された」というマイナス感情しか残らない残念な出来でした。


主観:(-)

オススメ度:C


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勇者リンの伝説
勇者リンの伝説
第24回富士見ファンタジア大賞<金賞>



・ドタバタ
・はないちもんめ
・リンちゃんがすべて
・「もげろ」
・床屋のおっちゃん生きろ!
・主婦最強説
・王道テーマをコメディにのせて

わかりやすいです。
キャラの会話を追いかけながら楽しく読める作品だと思いました。
ダチョウ倶楽部のノリは面白かったです。
異世界ファンタジーの世界観ですが、軽トラが出てきたり、夏休みの宿題に苦しむ学生達の懊悩を描いたり、ニートのおっさんを描いたりと、現代的なギャグを取り入れて、超自然的な(シュールな)笑いを誘います。
引き出しの一番目が勇者用とか、四天王が中間管理職とか、「異世界なのになんか現実っぽい!?」て笑いは、面白いのです。
なのに、はちゃめちゃギャグを飛ばしすぎて、作品内の「自然状態」が「異世界」というより「なんでもありの世界」に見えてしまい、ゆえにシュールな笑いすべてが全体的に弱まってしまっているのがもったいないと感じました。
テーマが非常にわかりやすいです。
すごく強力で外さないテーマだと思います。
リンちゃんの行動と台詞でどんどん説得力を持たせていく感じは、まるで我が子の成長を見守るような温かく幸せな気持ちになれました。
ごく軽いドンデンはありますが、着地点は同じなので、基本一本道です。
近頃ドンデンの大きな本が話題になっているせいか、この裏切られない王道な感じが逆に新鮮でした。
リンちゃんみたいな子は、必ず失敗するけど、必ず成功すると思います。


主観:(-)

オススメ度:B


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期待を裏切られない王道異世界コメディを読み返したい方にオススメします↓




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100万回死んでも少女は死体回収屋の苦労を知らない2
100万回死んでも少女は死体回収屋の苦労を知らない2



(あらすじ)
 本当は誰にも死んで欲しくない死体回収屋ブリッドと、とにかく死にまくる「攻略本? 何ソレ食えんの?」系冒険者ニナのメタファンタジーコメディ第二弾。冒険初心者に死なないようにアドバイスするブリッドは、同業死体回収屋のホークアイの反感を買う。ブリッドを追い込みたいホークアイは、『シルフィとその仲間たち』をニナに近づかせる。

・メイン死亡数⑨回
・ニナのむちゃくちゃキャラは相変わらず立っている
・パーティを組むという発想は良かった

まず、良かったポイント。
エリィという新キャラが、素直に可愛いです。
大きく描写される死亡シーンは九回。ニナ単体で五回。パーティ組んで四回。
パーティを組んだことによって引き起こされる笑い、エンターテイメントは最低限堪能できると思います。
p.114
「や、ネタバレは勘弁。まじで……おねがいします……」
というニナのセリフが切実で笑えます。
失敗をしっかりと重ねて、独自にきっちりと成長していくニナの姿はたくましく、教訓になります。
彼女のキャラのぶっとび具合は健在で楽しいです。
素直なニナもなかなかキュート。

そして、がっかりポイント。
「自滅から全滅へ……。今度は4人で死にまくる!?」
と帯で煽っておきながら、パーティを組むまでが長すぎです。
そして、『シルフィとその仲間たち』側、最初から手の内を見せすぎです。
それによって、本作の売りであるはずのニナの「おもろい死に方」のいくつか、面白さが目減りしています。
なぜニナの死に方が面白いのか?
それはニナがアホだからです。
普通の人間では死なないようなアホな行動を取って死ぬから、面白いのです。
それを、敵が罠にかけて死なせたのでは、面白さが目減りして当然です。
本作では敵をアホにしてバランスを取っています。
確かにパーティ結成後、アホがアホを罠にかけて一緒にアホさらして死んでいくのはある程度面白いです。
でも、せっかくパーティを組むという最高のシチュエーションを作ったのなら、一巻のジェラードさんのように「理不尽に巻き込まれて死んでいく」面白さも入れてくださいよ!
帯見たら、ジェラードさん巻き添え死のアップグレード版を期待しますって!
理不尽巻き添えの雰囲気が辛うじて出ていたのはエリィさんですが、どうせならもうちょっと反応見せてくださいよ。
やっぱり「ニナがまさかのパーティ結成!?」というアイデアを生かすなら、最初はホークアイの依頼の件は伏せておくべきだったのじゃないかと思います。
ニナがパーティ組む→ブリ「なんだって!?」→三人「よろしく」、ブリ「は、はぁ(哀れ目)」→巻き添え死にまくり→ブリ、三人に同情して「やめた方がいいよ」と助言→それでも死にまくる→あまりに献身的な三人に不信感を抱いたブリが調べてみると、なんと……
で、その後、手の内明かして敵側視点の展開の方が、ストーリーラインがはっきりとして読みやすいのではないでしょうか。
本作は視点がごちゃごちゃ動きすぎて、雑多に感じざるを得ません。
一巻も雑多でした。しかし、ニナ視点で死→ブリ視点で回収という法則が軸にあって、しかもその法則が見事に笑いの連鎖を生んでいたからこそ、一巻はその雑さが特に気にならなかったのです。
雑さだけを浮き上がらせてどうする!?
今回ブリッド編という形で書きたかったのだと思いますが、正直、伝わりにくいです。
理由は大きく二つだと考えます。
視点移動が多すぎて、問題を解決したのが誰なのかがわかりにくくなっていることがひとつ。
そして、物語の終着点がブリッドの「誰も死なせたくない」という願い(彼が死体回収屋であることの苦労そのもの)に置かれているのか、教会の権威主義的体制に対する反発なのか、はっきりしないことです。
ブリッドの願いは、ホークアイ戦の二回とラストのアレの計三回、大きく強調されます。
物語序盤からしっかり入れられていることから、ブリッド編にしたい意図がひしひしと伝わってきます。
しかし、最後のとある女性キャラとの会話シーンが長すぎてどっちがメインテーマなのかぼやけるのです。
テーマはどっちかに絞った方がいいですよ……。

結論。
視点は絞って、テーマも絞って、原点回帰を願います。


主観:(+)

オススメ度:C


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『劇場版踊る大走査線シリーズ』のストーリー構成が問題なく面白いと思える方にはオススメです↓





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オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。
オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。
第27回ファンタジア大賞<銀賞>



(あらすじ)
 女子嫌いの男子高校生・及川弥代(おいかわやしろ)は純情可憐な委員長・星宮奈々(ほしみやなな)と学校の階段で衝突事故を起こす。彼女はノーパンだった。奈々はパンツを穿くと、五分でパンツが弾け飛ぶ体質。秘密にして欲しいと懇願され、応じる弥代。奈々は弥代が嫌う『女子』とは違っていた。徐々に交流を深め奈々を『友達』と認識していく弥代であったが、彼女の秘密に振り回されるうちに、『女子嫌いの弥代』が限界を迎える。

・偏見に満ちたあるあるネタ
・主人公の成長がはっきりと見える
・テーマが王道的で展開にしまりがよく、名作になり得た作品

まず、よかったポイントから。
女性差別レベルに偏見ひどすぎの主人公、なのに妙に説得力あるのがうざい(褒め言葉)です。
王道的な成長を予感させるすばらしいキャラ設定だと思います。
p.65からの教室での騒動は、まさにラブコメ感が全開でよかったです。
p.77の「死ね」発言、ノーパンの秘密を守るために弥代君が四苦八苦するシーンも笑えます。
p.87「だってさ?『女子二人と女子より可愛い男子一人』って表現したら、星宮はともかく茜は絶対にキレるだろ? そんなことしたくないよ、殴られるから」は、地の文じゃなくて口に出して、是非殴られて欲しかったです!
主要キャラ四人(弥代抜き)が立っています。
男の娘はいわずもがな、絶妙なヒロイン感がグッド。
茜ちゃんとの距離が良い具合に甘酸っぱさが醸し出せています。手を繋ぐ繋がないのくだり、お化け屋敷で昇華させるセンスもステキ。
メインの奈々ちゃんはp.144の顔、是非イラスト欲しいですね!
お姉ちゃんの俯瞰視点キャラは本作においての最重要ポジション。
ぐっとくる良いセリフも多かったです。
「いつまでもトラウマに頼っていたらダメだよ!」
「やっと……私のこと、友達って呼んでくれたね……」
「ダメかもな。でもこれは俺にしかできない」
p.167今後(続刊以降)の展開における延命処理も見事。
p.195で、去る直前の茜ちゃんの反応を描かないセンス、好きです。
p.257では、主人公の成長とともに、大きなカタルシスを感じることができました。

で、がっかりポイント。
p.91からp.134って後から入れたんじゃないですか?
どの段階で入れられたのはわかりませんが、ここ、致命傷です。
p.90の次の展開は、第三章のp.135が自然でしょう。
弥代君、ノーパンの秘密を知る→姉に相談する→翌日、姉に秘密をバラしたことを奈々ちゃんに謝罪→秘密についての具体的な実験
で、いいでしょう!?
物語上、弥代君が姉に相談して二晩も黙っておく理由がありません。
姉と星宮さんの交流シーン(電話も含む)を入れたいがために、作家の都合で日をまたいだようにしか思えません。
で、その交流シーン。
p.101のお姉ちゃんの「もしかして、今ノーパン?」発言と、p.112のお姉ちゃん視点の描写「そんなことをしても私にメリットないし、それに弥代に迷惑がかかっちゃうし」という部分は整合性がとれていません。お姉ちゃんのキャラがぶれています。
p.102の「秘密を守るためとはいえ主人公がひどいセリフを吐いてヒロインがショックを受ける」というコメディをやりたかった意図はわかりますが、優先順位を間違っていると思います。
しかも、このp.102で奈々ちゃん「私って……エロゲのヒロインなんだ……」とショックを受けて呟いているのに、p.141で「女の子に向かってエロゲのヒロインみたいとか、全然褒めてないよ!」って新鮮に驚いたら、おかしいでしょう。p.137からの弥代君と奈々ちゃんの会話は、まるでp.101~102のやりとりがなかったかのようで、二人の記憶障害が心配されます。
編集者の方、これでGOサイン出したらダメでしょう……。
おばかコメディのぶっとび展開と、支離滅裂というのはまったく違います。コメディなめないでください。
あと、p.115の奈々ちゃんのセリフ『やっぱり知ってたんですか? 弥代君の幼馴染みだから、もしかしたら及川さんも……なんて思ってたんですけど』は、飛躍しすぎだと思います。
直前のお姉ちゃんのセリフ『久々に理央と茜にも会いたいし』だけから、話題を「茜の好意」に繋げるのはちょっと強引すぎます。
作家先生のやりたいことはわかるんですが、読者としてはこの二人が異次元会話をしているようにすら見えてきます。
直後のお姉ちゃんの心理描写が過度に説明的なのに、ここの説明不足は違和感あり。
上で「過度に」と指摘したp.117のお姉ちゃんのご説明。本文そこまで読めば、いちいち解説していただかなくても十分伝わってます!
そして、同じく挿入されたとおぼしきp.117~124の理央と茜の電話シーン。
これ、順当にp.178の実験後のシーンに入れたので良かったのではないでしょうか。
その方がp.179の展開にスッと入っていけます。
伏線張ったら一回別のシーン入れてから……、なんてルールないです。
わざわざここで出して数日置く必然性がないのは前述の弥代君の例同様。
もしかして誰かに「第四章で、姉が星宮さんのことを知らないのに、的確なアドバイスをするのはおかしい」と指摘されたがために無理矢理後からねじこんだのではないか、と邪推してしまうほど、p.91~の挿入はおかしいです。そして、二人の交流シーンは物語上不要だと思います。
お姉ちゃんは俯瞰視点の謎キャラのままで全然問題なく立つと思います。なのに、このノイズのせいで、キャラがぶれっぶれに感じられ魅力が伝わりません。
p.263の「パンツをかぶるんだ!」の処理は、フォローが早すぎです。
エピローグで、へらっと「あ、あれ冗談」とか笑って流すぐらいのバランスがお姉ちゃんのキャラには合っているのではないでしょうか。

結論として、
弥代君以外の一人称部分を全部カットして調整すれば、もっと引き締まった佳作になったかもしれません。
こういう、キャラが勝手に動いて展開を盛り上げていくような作品、ホント好きなんです。だから、応援させてください。お願いします。


主観:(+)

オススメ度:C


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採れたてホヤホヤですよ! まだまだ改善の余地のある青い作品こそ応援したいという方にオススメです↓





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戦鬼 ―イクサオニ―
戦鬼 ―イクサオニ―
第18回ファンタジア大賞<大賞>



・日本神話のちゃんこ鍋
・しっかりとした作り込み
・王道展開をがっつり
・あなたはお父さんの子で、お母さんの子だから
・温かい場面の描き方が見事
・ちょっと泣きました

読み応えがありました。
鬼視点の桃太郎。
よかったです。
桃生さんというキャラが良いラスボスのたたずまいでした。
彼はビジネスマンにしたら相当のやり手になるでしょう。
最初っから最後までvs桃生さんという図式が変わらないので、物語の目的がはっきりしていて、読者に親切です。
桃生さんに同胞を殺され人間を憎む鬼、温羅(うら)。
心優しい元捨て子の巫女、梓(あずさ)。
チャラいチキン役人、智也(ともなり)。
三人の旅が不調和で、やりとりが面白いです。
キャラクターがそれぞれ完成していて、キャラ同士のからみ、関係性の発展を楽しめます。
梓が温羅に笛を吹いて聞かせる場面の置き方は趣があって感嘆。
襲いかかる敵の狗、猿、雉のキャラも立っています。
雉が特によかった。
『少数の敵に多数で臨むは獣の如き畜生の業』
とか言って、温羅と一対一の決闘にこだわるスタイル。
かっこいいけど、あなたが畜生です。
p.234の温羅の台詞。
ここまで物語を読み進めてきたからこそ、染みますね。素晴らしいです。
最後にひとつ。
オススメ度にも主観にもまったく影響しないのですが、p.133の挿絵、梓ちゃんの目が開いているのは合っているのでしょうか。


主観:(-)

オススメ度:B


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100万回死んでも少女は死体回収屋の苦労を知らない
100万回死んでも少女は死体回収屋の苦労を知らない
第26回ファンタジア大賞<準大賞>



・着眼点がすごい
・メタ笑い、シュール笑いの使いこなしが見事
・ぺしゃんこ可愛い
・挿絵のデフォルメ具合が可愛い
・笑える
・ざっと読める
・雑に見えるところがまた一興
・フェリちゃん可愛い

RPGの迷宮内で死んだ冒険者の死体ってどうしてるの?
という問題一点を突き詰めたという点で、名作だと思います。
ゲームやっているときに「うはw死んだwww」という楽しさをそのまま物語にしたような作品。
ニナちゃんの死に方に笑え、ブリッドくんの苦悩する様子に笑えます。
ぼんやり読んでいるともの凄く雑多で乱雑に見えるんですが、よく読むとちゃんとしてます!
その「ちゃんとし方」が大雑把なのだと指摘されるとそうなんですが、「おもろい死に方特集」をしっかりとした物語に構築し、完成させる技術は見事です。
物語を締めるためのテーマは、積み上げてきた面白さを損ねない程度の、すばらしい選択だと思います。
このキャラなんで出した? この台詞の回収どこ?
など、些細な問題ありますが、「その一見雑な感じがいいでしょ?」と言われると納得してしまう不思議。
終盤の唐突感や無理矢理感、急展開に見えてしまう感じは、この手のおもしろ特集型の小説だと宿命なのかもしれません。
この手のジャンルエンターテイメントにおいて、手数勝負のおもしろさを損ねずに、作品を自然に完結させるアイデアを打ち出す作家は果たして現れるのでしょうか。
現れれば、エンターテイメント界の世紀の大発見になることは間違いないと思います。

主観:(+)

オススメ度:B


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ロクでなし魔術講師と禁忌教典
ロクでなし魔術講師と禁忌教典
第26回ファンタジア大賞<大賞>



・主人公グレンの心境変化がわかりやすい
・物語の展開がわかりやすい
・メリハリがある
・ダブルヒロイン、システィーナとルミアのキャラの違いが立っている
・講義シーンの説得力が異常
・「寝坊は社会人として最低だぞ!?」
・そこでもギャグ挟んでくるんかい!?
・グレンさん格好良いです
・パーフェクト伏線回収率
・納得の大賞

キャラの関係性がはっきりしていて、楽しかったです。
グレンとシスティのやりとりおもしろいです。
①正規雇用の先生の代わりに無気力講師抜擢
②やる気無い
③きまじめ生徒さんと喧嘩
④きっかけ
⑤やる気出た
⑥名授業!?
と、王道の流れを作っておいて、先生生徒の交流を深めていく中で、きっちりクライマックスの布石を置いていく鮮やかさが見事でした。
p.111のルミアの台詞は良い具合に風刺が効いています。
展開の要所要所に挟み込まれるコメディが光ります。
終盤システィに発したある台詞は、システィと同時に読者も救ってくれました。
クライマックスのカタルシスはかなり大きいです。
メガネザルふざけんな。

主観:(-)

オススメ度:B


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