読書感覚文
主観と感覚のままに書き殴ります。ネタバレは、未読の方が今後読んでも楽しめる範囲で
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100万回死んでも少女は死体回収屋の苦労を知らない2
100万回死んでも少女は死体回収屋の苦労を知らない2



(あらすじ)
 本当は誰にも死んで欲しくない死体回収屋ブリッドと、とにかく死にまくる「攻略本? 何ソレ食えんの?」系冒険者ニナのメタファンタジーコメディ第二弾。冒険初心者に死なないようにアドバイスするブリッドは、同業死体回収屋のホークアイの反感を買う。ブリッドを追い込みたいホークアイは、『シルフィとその仲間たち』をニナに近づかせる。

・メイン死亡数⑨回
・ニナのむちゃくちゃキャラは相変わらず立っている
・パーティを組むという発想は良かった

まず、良かったポイント。
エリィという新キャラが、素直に可愛いです。
大きく描写される死亡シーンは九回。ニナ単体で五回。パーティ組んで四回。
パーティを組んだことによって引き起こされる笑い、エンターテイメントは最低限堪能できると思います。
p.114
「や、ネタバレは勘弁。まじで……おねがいします……」
というニナのセリフが切実で笑えます。
失敗をしっかりと重ねて、独自にきっちりと成長していくニナの姿はたくましく、教訓になります。
彼女のキャラのぶっとび具合は健在で楽しいです。
素直なニナもなかなかキュート。

そして、がっかりポイント。
「自滅から全滅へ……。今度は4人で死にまくる!?」
と帯で煽っておきながら、パーティを組むまでが長すぎです。
そして、『シルフィとその仲間たち』側、最初から手の内を見せすぎです。
それによって、本作の売りであるはずのニナの「おもろい死に方」のいくつか、面白さが目減りしています。
なぜニナの死に方が面白いのか?
それはニナがアホだからです。
普通の人間では死なないようなアホな行動を取って死ぬから、面白いのです。
それを、敵が罠にかけて死なせたのでは、面白さが目減りして当然です。
本作では敵をアホにしてバランスを取っています。
確かにパーティ結成後、アホがアホを罠にかけて一緒にアホさらして死んでいくのはある程度面白いです。
でも、せっかくパーティを組むという最高のシチュエーションを作ったのなら、一巻のジェラードさんのように「理不尽に巻き込まれて死んでいく」面白さも入れてくださいよ!
帯見たら、ジェラードさん巻き添え死のアップグレード版を期待しますって!
理不尽巻き添えの雰囲気が辛うじて出ていたのはエリィさんですが、どうせならもうちょっと反応見せてくださいよ。
やっぱり「ニナがまさかのパーティ結成!?」というアイデアを生かすなら、最初はホークアイの依頼の件は伏せておくべきだったのじゃないかと思います。
ニナがパーティ組む→ブリ「なんだって!?」→三人「よろしく」、ブリ「は、はぁ(哀れ目)」→巻き添え死にまくり→ブリ、三人に同情して「やめた方がいいよ」と助言→それでも死にまくる→あまりに献身的な三人に不信感を抱いたブリが調べてみると、なんと……
で、その後、手の内明かして敵側視点の展開の方が、ストーリーラインがはっきりとして読みやすいのではないでしょうか。
本作は視点がごちゃごちゃ動きすぎて、雑多に感じざるを得ません。
一巻も雑多でした。しかし、ニナ視点で死→ブリ視点で回収という法則が軸にあって、しかもその法則が見事に笑いの連鎖を生んでいたからこそ、一巻はその雑さが特に気にならなかったのです。
雑さだけを浮き上がらせてどうする!?
今回ブリッド編という形で書きたかったのだと思いますが、正直、伝わりにくいです。
理由は大きく二つだと考えます。
視点移動が多すぎて、問題を解決したのが誰なのかがわかりにくくなっていることがひとつ。
そして、物語の終着点がブリッドの「誰も死なせたくない」という願い(彼が死体回収屋であることの苦労そのもの)に置かれているのか、教会の権威主義的体制に対する反発なのか、はっきりしないことです。
ブリッドの願いは、ホークアイ戦の二回とラストのアレの計三回、大きく強調されます。
物語序盤からしっかり入れられていることから、ブリッド編にしたい意図がひしひしと伝わってきます。
しかし、最後のとある女性キャラとの会話シーンが長すぎてどっちがメインテーマなのかぼやけるのです。
テーマはどっちかに絞った方がいいですよ……。

結論。
視点は絞って、テーマも絞って、原点回帰を願います。


主観:(+)

オススメ度:C


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『劇場版踊る大走査線シリーズ』のストーリー構成が問題なく面白いと思える方にはオススメです↓





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テーマ:読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。
オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。
第27回ファンタジア大賞<銀賞>



(あらすじ)
 女子嫌いの男子高校生・及川弥代(おいかわやしろ)は純情可憐な委員長・星宮奈々(ほしみやなな)と学校の階段で衝突事故を起こす。彼女はノーパンだった。奈々はパンツを穿くと、五分でパンツが弾け飛ぶ体質。秘密にして欲しいと懇願され、応じる弥代。奈々は弥代が嫌う『女子』とは違っていた。徐々に交流を深め奈々を『友達』と認識していく弥代であったが、彼女の秘密に振り回されるうちに、『女子嫌いの弥代』が限界を迎える。

・偏見に満ちたあるあるネタ
・主人公の成長がはっきりと見える
・テーマが王道的で展開にしまりがよく、名作になり得た作品

まず、よかったポイントから。
女性差別レベルに偏見ひどすぎの主人公、なのに妙に説得力あるのがうざい(褒め言葉)です。
王道的な成長を予感させるすばらしいキャラ設定だと思います。
p.65からの教室での騒動は、まさにラブコメ感が全開でよかったです。
p.77の「死ね」発言、ノーパンの秘密を守るために弥代君が四苦八苦するシーンも笑えます。
p.87「だってさ?『女子二人と女子より可愛い男子一人』って表現したら、星宮はともかく茜は絶対にキレるだろ? そんなことしたくないよ、殴られるから」は、地の文じゃなくて口に出して、是非殴られて欲しかったです!
主要キャラ四人(弥代抜き)が立っています。
男の娘はいわずもがな、絶妙なヒロイン感がグッド。
茜ちゃんとの距離が良い具合に甘酸っぱさが醸し出せています。手を繋ぐ繋がないのくだり、お化け屋敷で昇華させるセンスもステキ。
メインの奈々ちゃんはp.144の顔、是非イラスト欲しいですね!
お姉ちゃんの俯瞰視点キャラは本作においての最重要ポジション。
ぐっとくる良いセリフも多かったです。
「いつまでもトラウマに頼っていたらダメだよ!」
「やっと……私のこと、友達って呼んでくれたね……」
「ダメかもな。でもこれは俺にしかできない」
p.167今後(続刊以降)の展開における延命処理も見事。
p.195で、去る直前の茜ちゃんの反応を描かないセンス、好きです。
p.257では、主人公の成長とともに、大きなカタルシスを感じることができました。

で、がっかりポイント。
p.91からp.134って後から入れたんじゃないですか?
どの段階で入れられたのはわかりませんが、ここ、致命傷です。
p.90の次の展開は、第三章のp.135が自然でしょう。
弥代君、ノーパンの秘密を知る→姉に相談する→翌日、姉に秘密をバラしたことを奈々ちゃんに謝罪→秘密についての具体的な実験
で、いいでしょう!?
物語上、弥代君が姉に相談して二晩も黙っておく理由がありません。
姉と星宮さんの交流シーン(電話も含む)を入れたいがために、作家の都合で日をまたいだようにしか思えません。
で、その交流シーン。
p.101のお姉ちゃんの「もしかして、今ノーパン?」発言と、p.112のお姉ちゃん視点の描写「そんなことをしても私にメリットないし、それに弥代に迷惑がかかっちゃうし」という部分は整合性がとれていません。お姉ちゃんのキャラがぶれています。
p.102の「秘密を守るためとはいえ主人公がひどいセリフを吐いてヒロインがショックを受ける」というコメディをやりたかった意図はわかりますが、優先順位を間違っていると思います。
しかも、このp.102で奈々ちゃん「私って……エロゲのヒロインなんだ……」とショックを受けて呟いているのに、p.141で「女の子に向かってエロゲのヒロインみたいとか、全然褒めてないよ!」って新鮮に驚いたら、おかしいでしょう。p.137からの弥代君と奈々ちゃんの会話は、まるでp.101~102のやりとりがなかったかのようで、二人の記憶障害が心配されます。
編集者の方、これでGOサイン出したらダメでしょう……。
おばかコメディのぶっとび展開と、支離滅裂というのはまったく違います。コメディなめないでください。
あと、p.115の奈々ちゃんのセリフ『やっぱり知ってたんですか? 弥代君の幼馴染みだから、もしかしたら及川さんも……なんて思ってたんですけど』は、飛躍しすぎだと思います。
直前のお姉ちゃんのセリフ『久々に理央と茜にも会いたいし』だけから、話題を「茜の好意」に繋げるのはちょっと強引すぎます。
作家先生のやりたいことはわかるんですが、読者としてはこの二人が異次元会話をしているようにすら見えてきます。
直後のお姉ちゃんの心理描写が過度に説明的なのに、ここの説明不足は違和感あり。
上で「過度に」と指摘したp.117のお姉ちゃんのご説明。本文そこまで読めば、いちいち解説していただかなくても十分伝わってます!
そして、同じく挿入されたとおぼしきp.117~124の理央と茜の電話シーン。
これ、順当にp.178の実験後のシーンに入れたので良かったのではないでしょうか。
その方がp.179の展開にスッと入っていけます。
伏線張ったら一回別のシーン入れてから……、なんてルールないです。
わざわざここで出して数日置く必然性がないのは前述の弥代君の例同様。
もしかして誰かに「第四章で、姉が星宮さんのことを知らないのに、的確なアドバイスをするのはおかしい」と指摘されたがために無理矢理後からねじこんだのではないか、と邪推してしまうほど、p.91~の挿入はおかしいです。そして、二人の交流シーンは物語上不要だと思います。
お姉ちゃんは俯瞰視点の謎キャラのままで全然問題なく立つと思います。なのに、このノイズのせいで、キャラがぶれっぶれに感じられ魅力が伝わりません。
p.263の「パンツをかぶるんだ!」の処理は、フォローが早すぎです。
エピローグで、へらっと「あ、あれ冗談」とか笑って流すぐらいのバランスがお姉ちゃんのキャラには合っているのではないでしょうか。

結論として、
弥代君以外の一人称部分を全部カットして調整すれば、もっと引き締まった佳作になったかもしれません。
こういう、キャラが勝手に動いて展開を盛り上げていくような作品、ホント好きなんです。だから、応援させてください。お願いします。


主観:(+)

オススメ度:C


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採れたてホヤホヤですよ! まだまだ改善の余地のある青い作品こそ応援したいという方にオススメです↓





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リングテイル 勝ち戦の君
リングテイル 勝ち戦の君
第6回電撃ゲーム小説大賞<大賞>



・主人公マーニを応援したくなる小説
・作り込まれた世界観
・ファンタジー
・壮大

おてんばマーニ、わんぱくマーニ。
なんて呼ばれていますが、この子、頑張り屋さんですごく純真です。
魔導師見習いのマーニ。
憧れの大魔導師フィンダルを目の前にして、テンションが上がる姿はほほえましい。
読めば読むほど応援したくなります。
第四章で、とあるキャラが死ぬのは胸が痛くなりました。
あの種のキャラが死ぬのは、物語の展開上必要とはいえ、辛いです。
だからこそ続きを読んでしまうのです。
地理がかなりしっかりと構築されています。
マーニはどこに居るのか、どこのことを説明されているのか、読み遅れないようにお気を付けください。小説内場所移動が苦手な方は特に。
歴史もしっかりと構築されています。
どの時代の話をされているのか、読み遅れないようにお気を付けください。この辺りは会話の中でわかりやすく説明してくれるのであまり心配はいりませんが。
世界観を把握できると、この作品の綿密に構築された縦軸横軸の面白さが味わえます。


主観:(-)

オススメ度:B


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頑張り屋で純真な少女が大活躍する、壮大ファンタジー小説を堪能したい方にオススメします↓





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ラグナロク 黒き獣
ラグナロク 黒き獣
第3回角川スニーカー大賞<大賞>



・血がぶしゅーっ!
・展開のたたみかけが見事!
・ページをめくらせる技術の高さに圧巻
・決め台詞いいね!
・これぞエンターテイメント小説

ラノベ作家目指す方は必読です。
アクション好き嫌い関係なく、読んでください。
世界観や人物設定を、いかに展開の中で盛り込んでいくか、どう入れていけば読者に効果的に印象づけられるのか、盗める技術がたっぷりと詰まっています。
リロイ&レナとのやりとりから、依頼、襲撃、捕縛、と序盤に展開をたたみかけて読ませるテクニックが凄いです。
キャラの登場、引き際も見事。
リリィの絡ませ方、最高でした。
へパスの変質具合もよく味が出ています。
p.75のフォローで「武器手放したらどうすんの?」という読者が抱く根本的な疑問に蓋をしておく抜け目なさ。
味のある一文が多いです。
p.167
「俺……格好悪かったな」
「格好良かったことがあるのか、おまえ」
p.189
「本当に残酷なのは、あなたね」
p.179の左足とかはどうでもええわ!
目的をしっかりと明示してくれるので、読んでいる途中に物語を見失う心配がありません。
最後の最後まで読者へサービスを見せてくれる周到さに脱帽でした。
純粋に読者の「好きか」「嫌いか」だけに委ねられる形に、ジャンルエンターテイメントを落とし込む技術は必見です。


主観:(-)
オススメ度:A


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アクション小説好きだけでなく、ラノベなるものに興味を持つ方全員にオススメです↓




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ブラックロッド
ブラックロッド
第2回電撃ゲーム小説大賞<大賞>



・ブラックロッドって、何?
・こんなことなら俺が喰っちまうんだったよ
・熱い
・濃い
・渋い

中古の単行本を購入して読みました。
おかげで行間字間が広くて読みやすかったです。
ざっくりとした文体です。
とにかく、人が死にます。
死に方が唐突なので、びっくりします。
確かに人が死にまくって血が出まくるのは痛快でありますが、キャラの関係性をしっかりと築く前、読者を説得する前に殺してしまったらちょっともったいないんじゃないでしょうか。
せっかく魅力のあるキャラなので、がっつり感情移入してから、死んで欲しかったです。とくに女の子。
V7、V9の差別化、おもしろかったです。
肉片が集まってくるシーンもすてきでした。
血がいっぱいです。
当て字が多いです。
覚悟してください。世界観が受け入れられるまで、読むのがしんどいかもしれません。
ただ、終着点はすごいです。
p.238で思わずうなり声を上げてしまいました。
「自分はいったい何を読まされているんだろう?」「何のためにこの本読んでいるのだろう?」
と途中で感じてしまった人ほど、ここのカタルシスは大きく感じられます。
説得力がすごいです。
物語を最終的に納得させるテクニックが誠に見事な作品でした。


主観:(-)

オススメ度:B


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『北斗の拳』の世界観に御霊とか吸血鬼とかをブレンドしたお楽しみセットを味わいたい方にオススメです↓



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五霊闘士オーキ伝 五霊闘士現臨!
五霊闘士オーキ伝 五霊闘士現臨!
第1回電撃ゲーム小説大賞<大賞>



・主人公の呆けっぷりが素敵
・冒頭のいきなり展開
・人がゴミのように死んでいく
・キタコレ四天王討伐モノ

中古で買って読みました。
記念すべき第一回大賞受賞作品です。
時代がうかがえます。
各章ごとに敵が次々と登場して、次々と仲間が増え、次々と倒していくというまっすぐストレートな王道展開は、今だと新鮮。
主人公オーキ君のボケキャラは見ていて楽しいです。
ちなみにオーキ君は、冒頭のたった4ページで死にます。主人公が死にます。そんな読者の引きつけ方は好きです。
主人公だけでなく本編にて、名も無いキャラがばったばったと死んでいきます。
痛快です。
主人公サイドが他人の記憶をいじくるシーンなど、背徳感をそそられる感じが大好きです。
p.131
「少年。お前は、なぜ戦う?」
強敵の闇能路(やみのじ)さんの問いに対するオーキ君の答えは、シンプルですが良い味を出していると思います。
日常で使い慣れない漢字は多いです。
フリガナも多いです。
ちょっとうざいです。
でも、読んでいるうちに慣れます。
ですが、別に慣れなくても楽しめる作りにはなっています。
キャラの生き様、精神部分が十二分におもしろいです。
p.253
「あんたは……いったいなんのために、生きてきたんだ?」
オーキ君の問い。
ラスボス総邪魔(ふさやま)さんの答え。
読み終えた後に、なんとなく「良い小説を読み終えた感」を味わえます。
そうしたテクニック、台詞回し、展開の持って行き方は、さすが大賞作品。


主観:(-)

オススメ度:B


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ラノベの歴史を確認したい方にオススメです↓




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ゼロから始める魔法の書
ゼロから始める魔法の書
第20回電撃小説大賞<大賞>



・魔術と魔法の違いがわかる
・主人公が斬新
・食べ物の恨みは恐ろしい
・ロジックとマジックの融合
・シリアスとコメディのバランス良い

本作の大きな特徴として「魔術」と「魔法」の明確な差別化に挑戦しているということでしょう。
魔術って何?
魔法って何?
読むと「なるほど!」と納得させられます。
ロジックが非常にわかりやすいのです。
これだけ体系的に丁寧に世界観を示してもらえると、魔法モノが苦手な読者でも入っていけます。
地の文での説明じゃなくて、ヒロインのゼロさんが会話の中で、丁寧にたとえ話を挟み込みながら教えてくれるので、本当にわかりやすい。
「獣降ろしの呪術返り」の説明には感動しました。
ロジックの積み重ねがとにかく丁寧です。
だからでしょう。序盤の「動き」は少なめです。
後半以降も、「動き」はあるんですが、ロジックの挟み込みが半端ないので少なく見えます。
私はこれを勇気ある割り切りだと解釈しました。
というのも、この作品、魔法&剣モノでありながら
視覚効果をガンガンに発揮したアクション&バトルシーンではなく、
ロジックを駆使した信念と信念のぶつかり合い、意志と意志のバトルに重きを置いているのです。
おもしろい。
ただ、犠牲への精算がちょっと煙に巻かれた感じはしました。
着地点の妙なもやもや感。
どうしても「ぬるい」という感想を抱いてしまうんですよ……。
正しいんです。
展開として間違いないと思うんです。
ロジックでがっちり固めている。
キャラの行動原理もしっかりしている。
正解だからこその、なんかちょっと消化不良という気持ち悪さ。
でも、やっぱり好きなんです。この作品。
最後の一文読んで、拍手を送りました。


主観:(+)

オススメ度:B


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魔法モノ読んだことない方には、まじめに「ゼロから始める入門書」としてオススメです↓




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ゼロから始める魔法の書Ⅱ ―アクディオスの聖女<上>―
ゼロから始める魔法の書Ⅱ ―アクディオスの聖女<上>―



・目に見える形で一巻のアップグレード版
・キャラクターが立っている
・悪魔と呪文。神と祈り
・ラブコメもアルよ
・庭師の娘かわいい
・お花畑
・クリフハンガー見事

読んでいると、キャラの輪郭がくっきりと浮かび上がってくるのです。
記号としてのキャラではなく、ゼロさんはゼロさんとして、よーへい君はよーへい君として、間違いなく物語の中に存在しているのです。
存在していると認識させてくれるのです。
それぞれの精神構造が、丁寧に、緻密に計算して作り込まれている。
だから二人の会話がおもしろい。小突き合いがおもしろい。
冒頭の30ページで二人の関係性を会話で示してくれるのは親切。
挟み込まれる二人の台詞、コメディ、直面するイベントが、どれもこれも、見事に一巻のアップグレードです。
第六章にて、ゼロさんが、とある魔法について解説してくれます。
もしあなたが一巻でゼロさんの「獣降ろしの呪術返り」の解説がすごくわかりやすいと感じたのなら、あの感動が再び味わえます。
理屈好きにはたまりません。
もうゼロさんの魔法講座は恒例行事にしていただきたいですね!
今回、なんとゼロさんの嫉妬シーンが見られます。
このシーン。ゼロさんのキャラが壊れない程度の配慮+展開上のあざとさが残らない程度の、抑制の利いた抜群のバランスで挿入されていると思います。
今回<上>ということで、<下>に向けたクリフハンガーもお見事。
第五章のあの光景を目の当たりにしたら、もう、次買うしかないですね。
一巻読んで、ほんの少しでも好印象を抱いた方には、文句なしにオススメです。


主観:(+)

オススメ度:A


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ゼロさんとよーへい君にもう一度会いたいという方に全力でオススメします↓


今一番オススメしたい、初心者にも優しい魔法モノです。
一巻もいっしょにオススメです↓





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Yの紋章師
Yの紋章師
第10回MF文庫Jライトノベル新人賞<最優秀賞>



・運命に抗え!
・ダブルヒロインならぬ、ダブルヒーロー!?
・「憂鬱だねえ……」
・会長かっこいい
・総長かっこいい

さすが大賞作品。
世界観の構築と設定が緻密。
読めば読むほど、徹底して作り込まれた世界観が楽しめます。
第一章がとにかくボリューミーです。
物語を回すための準備というか、キャラの関係性、設定、用語が目白押し。
p.31の「また戦争」発言とか、期待感を煽られます。
熱いです!
本作全体を通して言えるのは、物語の推進力が落ちないということ。
ジェットコースターのように展開の上にまた展開と重ねられていくので飽きません。
抑揚バランスの取り方や、シーンごとの描写技術には長けていると思います。
さて、ここから先は残念ポイント。
主人公レオン君が「デコレーション」とバカにされている描写はちょっと少ない気がしました。
そのせいで、レオン君の紋章覚醒のカタルシスが若干目減り気味。そのシーン、熱いことには熱いんですが……。
第一章で、オズワルド先生に関する結構重大なネタバレが提示されます。
もうそれバラしちゃいますか?
第二章以降で、レオン側×オズワルドのやりとりシーンがちゃんと伏線になっているのに、もったいなくないですか?
第三章のp.170~173にかけてのレオン側の推理による盛り上がりや緊張感が、目減りしてしまいませんか?
で、その直後の会長さんのシーンにて、みんな飲み込みが早すぎませんか?
やっぱり序盤中盤は、レオン側、オズワルド側、どちらか一方の視点で引っ張って欲しかったです。
両方見せることでできるギャグ(チェルシーとのデートシーンでのやりとり)を見せたかったという意図はわかります。
読者の考えの先読みするような新しい手法、新しいタイプの裏切り展開を開拓しようとした志、チャレンジ精神もわかります。
でも、やっぱり読者としては、レオン君と一緒に驚愕したかった!
p.285ですよ!
それまでのやりとりの中にちりばめられた布石。
ホント置き方は見事だと思うんですよ。
でも本作では「違和感(伏線)」じゃなくて「事実(解答)」になってるんですよ。
おかげでp.284~285にかけてのあの名シーン!
「まさか……」→「まさか」→「まさか!」→「まさか!?」→「きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!!」
……ってカタルシスがないんですよ。
もちろん熱いシーンであることには変わりないんです。
予めネタバレされていることで、確かに損ではないんです。でも、得でもないんです。
「目減り」です。
本作通して言えます。
物語の節々に挿入される盛り上がりシーンが、各々、70~80%に抑えられてしまっていると感じました。
それでも、それぞれ「面白い」と感じる以上には達しているというところが、なんとも憎いところ。
キャラクターかっこいいですよ。
シーン熱いですよ。
ストーリーの切り口斬新ですよ。
読んで良かったし、おもしろかったですよ。
でもちょっともったいない。
そんな作品でした。


主観:(-)

オススメ度:B


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新しい運命の抗い方を模索中の方にオススメします↓


新人作家さんならではのチャレンジ精神溢れる作品を読みたい方にもオススメです↓
この序盤ネタバレ手法。
完成させたら、もしかしすると、大化けが期待できるかも知れませんね。





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ブギーポップは笑わない
ブギーポップは笑わない
第4回電撃ゲーム小説大賞<大賞>



・青春サスペンスホラーの金字塔
・科白が印象に残る
・心理描写が見事
・不気味であり、幻想的な雰囲気
・すっきりとした文章
・一人称の描き方が鮮やか
・話の並べ方が美しい

なんといっても、第四話の置き方が秀逸です。
もともとサスペンスホラージャンルと相性の良い群像小説というスタイルを、最大限に生かし切っています。
各話一対一の人間関係に着目して読み進めると、本作の魅力が一層味わえます。
相手に対してどんな印象を受けているのか、どんな印象を発しているのか、描写が本当に見事です。
第一話→啓司&ブギーポップ
第二話→和子&凪
第三話→早乙女&百合原
第四話→木村&藤花、木村&直子
第五話→新刻&田中、新刻&凪、新刻&エコーズ
この切なさ、文字で読まないと伝わりません。
作品テーマに色気を出さず、コンパクトにまとめ上げているのも素晴らしいです。
シンプルな美しさを見事に証明した上で、青春サスペンスホラーというジャンル小説の役割を全うしてくれました。


主観:(+)

オススメ度:A


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良質な青春サスペンスホラーを読みたい方にオススメです↓



あと、アマチュア作家、ラノベ作家志望の方でまだ読んでない方は、絶対に読んでください↓
がっつり書き込み、付箋つけながら、本気で読むべし。
文章的な酔わせ方、読ませ方、一人称の描き方、群像形式の有用性、シーンの置き方、並べ方の研究に活用してください。アマゾンのカスタマーレビューもとても参考になります。




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