読書感覚文
主観と感覚のままに書き殴ります。ネタバレは、未読の方が今後読んでも楽しめる範囲で
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Φの方石 ―白幽堂魔石奇譚―
Φの方石 白幽堂魔石奇譚
第21回電撃小説大賞<大賞>



(あらすじ)
 アトリエ白幽堂を営む白堂瑛介のもとへ、下宿人黒須宵呼が越してくる。瑛介は修繕専門の方石職人。宵呼は方石学を学ぶ初学者。毒舌男とドジ娘のでこぼこコンビの共同生活のスタート。そんな中、瑛介は方石窃盗事件の真相に迫る。どうやら瑛介が持っているらしい「Φの方石」、宵呼が母の形見だと持っていた「μの方石」とは一体何なのか?

・梔子連作って人名じゃないよ!
・デコデコピッツァが美味しそう!
・Φの方石の仕掛けがすごい!

Φの方石の謎が明かされるシーンが気持ちよかったです。
読者は、序盤からずーっと「Φの方石ってなんやねん」と思わされ続けるので、四章、五章はかなり上手く機能していると思います。
世界系の小説です。
方石という技術が日本で発展している世界観。
藤原道長の長女彰子が方石を贈られたというのが、現存する最古の記録だそうです。
世界系はどうしても設定説明のいれどころが難しいのですが、
本作では、主人公を学生にすることで専門家から説明を受けることに必然性を与えています。
また、「経年劣化」の説明のシーン、
実習授業で宵呼ちゃん失敗→白幽堂で梔子連作の驚異的な特徴説明
という正しい手順!
実習授業のシーンで具体的な経年劣化を読者に示しておくことで、白幽堂での瑛介さんの解説が生きてきます。
これら、ストーリーテリングの技術的な部分が安定しているので読んでいてホント安心できます。

ちょっとだけ文句。
悪役サイドのキャラはもう少し掘り下げて欲しかったです。
とくにラスト。
正直、この展開なら、もっと凄惨な最期を与えてやっても、かなり劇的になったのではないかと思いました。
詰んでるんですよね。あのキャラ同士の関係。
幕間、うるっときたぐらいです。
p.270の「いよいよ意味不明ね」のセリフは悲しさも含めて笑ってしまいましたが、イカレてないとやってられないんですよ。あの子の立ち位置は。狂気で現実から目を背ける手段しか、あの子は知らなかったのでしょう。良い味が出ています。
最期を書き切って欲しいほどに、悪役サイドのキャラには魅力を感じました。
おそらくp.184~の宵呼ちゃんの過去と嘘のエピソードを置くことで、象徴的に機能させる意図があるのだと思います。
だからこそ、
最後に一発、ダークなフォローが欲しかった!
救われない美しさもあるんだね……。


主観:(-)

オススメ度:B


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暗闇にヤギを探して
暗闇にヤギを探して
第2回MF文庫Jライトノベル新人賞<優秀賞>



・『ごめんなさい、おいしかったです』
・ノートのページが何者かによって喰われるという導入が面白すぎる
・ルーズリーフはノートとは違う食感、て
・Eureka(エウレカ、ユリーカとも)古代ギリシア語で「(私は)見つけた」
・風子不憫
・ヒロインの会長が問題なく可愛い
・前半と後半のテンションのギャップが激しい
・エロゲのワンルートみたい

シュールなギャグを重ねていく学園ラブコメかと思いきや、途中から一転して驚きました。
この感じ、どこかで覚えがあると思ったら同じくMF文庫Jの『ホーンテッド!』の感覚ですね。
序盤コメディをやっておいて、中盤から後半にかけて思いっきり重いテーマをぶつけてくる感じ。
本作では中盤以降の内容が全部ネタバレになってしまうので詳しく語れませんが、物語の展開は順当で妥当だと感じました。
突飛な設定を綺麗に収められていました。
無理解を露呈するためだけに作られたようなキャラクターがいましたが、彼らにすごく不愉快な印象を抱いたので、キャラ付けとしては成功だったのでしょう。
p.253で主人公が発した一言に、最初から最後まで一貫して読者へ訴え続けた作品テーマを凝縮させたのは見事だったと思います。


主観:(+)

オススメ度:B


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勇者リンの伝説
勇者リンの伝説
第24回富士見ファンタジア大賞<金賞>



・ドタバタ
・はないちもんめ
・リンちゃんがすべて
・「もげろ」
・床屋のおっちゃん生きろ!
・主婦最強説
・王道テーマをコメディにのせて

わかりやすいです。
キャラの会話を追いかけながら楽しく読める作品だと思いました。
ダチョウ倶楽部のノリは面白かったです。
異世界ファンタジーの世界観ですが、軽トラが出てきたり、夏休みの宿題に苦しむ学生達の懊悩を描いたり、ニートのおっさんを描いたりと、現代的なギャグを取り入れて、超自然的な(シュールな)笑いを誘います。
引き出しの一番目が勇者用とか、四天王が中間管理職とか、「異世界なのになんか現実っぽい!?」て笑いは、面白いのです。
なのに、はちゃめちゃギャグを飛ばしすぎて、作品内の「自然状態」が「異世界」というより「なんでもありの世界」に見えてしまい、ゆえにシュールな笑いすべてが全体的に弱まってしまっているのがもったいないと感じました。
テーマが非常にわかりやすいです。
すごく強力で外さないテーマだと思います。
リンちゃんの行動と台詞でどんどん説得力を持たせていく感じは、まるで我が子の成長を見守るような温かく幸せな気持ちになれました。
ごく軽いドンデンはありますが、着地点は同じなので、基本一本道です。
近頃ドンデンの大きな本が話題になっているせいか、この裏切られない王道な感じが逆に新鮮でした。
リンちゃんみたいな子は、必ず失敗するけど、必ず成功すると思います。


主観:(-)

オススメ度:B


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黒崎麻由の瞳に映る美しい世界
黒崎麻由の瞳に映る美しい世界
第16回エンタメ大賞<優秀賞>



(あらすじ)
 黒崎はまるでお化けのようにおとなしく無口な少女。教室で浮いた存在だった彼女を、黒井は文化祭の準備に誘う。少女は、徐々に生きた人間の表情を見せ始める。

・二回読むことを推奨
・登場人物の心の作り込みが見事
・噛めば噛むほど味が出るタイプの小説

まゆちかわいい。
ページ開いてまずびっくり。39字×36行ですよ。えんためさんとこは34行が多いので若干圧迫感。『アンダートラップ』を思い出しました。
さて、読み始めてすぐ、「あ、ウェルメイド感……」と。展開追っかけるタイプの小説ではなく、登場人物の関係性や、心の動きを想像しながら楽しむタイプの小説です。
赤城君、白石さん、ういうい、柴原さん、みんなキャラクター立ってますね。
本当にみんな生き生きしていました。
先生、各キャラの精神構造かなりかっちり構築していらっしゃるのだと思います。

ネタバレはしません。
が、ラストの展開について。
p.296以降、
あるキャラがあざといぐらいにテーマらしいテーマを主張します。
これがメッセージですよ、と言わんばかりに。
……初読時はまんまと騙されかけました。
本質はもっと、私欲にまみれた人間的なテーマだったんですね。
じゃないと、各章の節々にアレを挟み込む理由がない。
第二章、第三章、第四章と進化していくアレ。
本当に人間的で、だからこそぞっとするものがあります。

ラストの一行は綺麗に決まっていると思います。
帯では『英雄譚』と煽られていますが、私は、まゆち自身の意志と決断を尊重したいと感じました。


主観:(+)

オススメ度:B


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