読書感覚文
主観と感覚のままに書き殴ります。ネタバレは、未読の方が今後読んでも楽しめる範囲で
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災厄戦線のオーバーロード
災厄戦線のオーバーロード
第27回ファンタジア大賞<金賞>



(あらすじ)
最優秀ポンコツ訓練生琴音が、若き最強室長笹宮に目をつけられる。彼の指導の下、彼女は自分なりの戦い方を身につけてゆく。

・キャラクター設計がすばらしい
・プロットがお見事
・明白な欠陥を抱えながらも、ちゃんと面白い!

キャラクターが非常に立体的。
ヒロインの琴音ちゃん。最優秀訓練生でありながら、現場で二ヶ月経っても昇格できず、劣等感を抱いているという初期設定がいい!
またサブキャラにもぬかりなし。
それぞれのキャラの性質に沿ったギャグが展開されるため、ちゃんと笑える!
壱彦くんの言葉を知らないネタしかり、雪子さんの何言ってるのかわかんないネタしかり。
シリアスなシーンでも、きちんとキャラクターの個性に則っていれば、生きたギャグとしてクッションの役割を果たす!
本作はそれを証明してくれています。

プロットが明確に面白いです。
首長竜に襲われる→助けてくれた男に目をつけられる→男のとりまきの女にも目をつけられる→女と決闘する話を勝手にとりつけられる→自分も強くなりたいと奮起→決闘当日に再び災難に見舞われる
p.36にて琴音ちゃんの不運属性が示されます。
物語に勢いをつけるために絶対的に必要なヒヤヒヤ展開が、それですべて辻褄が合うように施されているのが憎い。
この運というネタに関してのオチも綺麗でした。

ビニール傘が透明である理由が結構怖い。
だからこそ、目の前の敵から目を逸らさない、逃げない、ということに繋がるのでしょう。テーマとすごく合っていると思います。

……ちゃんとしているからこそ、本当にもったいないです。
読了後にこんなに悔しい思いをしたのは久しぶりかも知れません。

本作、このストーリーテリングの形を取るならば、絶対に疑似三人称で書かないと駄目でしょう?!
一人称であんなに視点が変わったら、どう見ても読みづらすぎです。
「私」「わたし」「あたし」っていくら書き分けたからって駄目。空行ごとにいちいち誰視点に変わったのか考えないといけないのは、はっきり苦痛です。
さらにその上でいきなり過去の話に飛んだりしたらもうしっちゃかめっちゃかです。
途中で嫌になる読者がいてもまったく不思議じゃありません。

このプロットなら、琴音ちゃんの一人称でずっと通して書くのもありだったと思います。
むしろその方が、最終的にテーマが綺麗にまとまって見えるように描きやすいのではないでしょうか。
ポンコツ琴音ちゃんが、頭のおかしい最強室長にしごかれて、自己実現を果たす。琴音ちゃんの内面をしっかりと詰めていく路線もあったのではないでしょうか。

笹宮室長が主人公だという説があるようですが、正気ですか?
彼は、すごい状態で登場して、すごいこと本編でやって、すごいなぁと称えられて去ってゆきます。しかも共感を呼びにくいタイプの最強変人。
小説の主人公として赤点レベルです。
彼の内面を描く度に、彼の魅力が下がります。
手の内は読者に明かさずに、厳しく変質的に琴音ちゃんに当たり続けてよかったキャラだと思います。
彼の過去とか思惑なんて、秘書の人に適当に台詞で喋らせておけば、読者の想像もかき立てられます!
(漫画の『アカギ』の場合、南条さん等の取り巻きが語り部であることに気付いて!)

p.107で三バカを壱彦くんが殴るシーン。
それ、琴音ちゃんの知らない場所でやったら駄目でしょう。
三バカをぎゃふんと言わせるのは琴音ちゃんの役割です。
テーマ的に琴音ちゃんが成長する機会をただ奪うだけの愚行。本当にもったいないです。
さらにこのシーン「俺」という一人称で書かれているので、初見時、一瞬笹宮室長が出てきたようにも錯覚して困惑しました。

総じて、
表現方法でかなり損をしている作品です。
第一章終了時点までの展開の勢いがなければ危うく「オススメ度:C」ってつけるところでした。
本当にもったいないです。ただ、これが作家性だと言うのなら、……諦めます。


主観:(+)

オススメ度:B


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