読書感覚文
主観と感覚のままに書き殴ります。ネタバレは、未読の方が今後読んでも楽しめる範囲で
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異界の軍師の救国奇譚
異界の軍師の救国奇譚
第19回スニーカー大賞<特別賞>



(あらすじ)
家事スキルの高い男子高校生が異世界に転生する。転生先の王宮にて、ポンコツ姫の主催する昼食会を手助けする。

・スカシとしてはある意味成功
・女性キャラがみんな良い奴!
・原題『君とリンゴの木の下で』
・挿絵のラフ感

嫌いじゃないです!
魔法と剣モノと見せかけて……

(ネタバレ警報)

実は主夫モノ!
家事が得意な男子高校生が、魔法の世界で魔法をガン無視して家事のなんたるかを伝道する物語です。
こういうスカシは結構好きなんです。
序盤、牢屋で粗末な食事を出されて切れる主人公。
中盤、夢の中に現れた女神が土足で上がろうとするのを叱る主人公。
終盤、王女にお手製の梅干しを食べさせ反応を楽しむ主人公。
魔法と剣の世界では現代日本の一般知識が珍妙だからと調子を漕ぎまくる主人公。読者も一緒になって楽しみましょうというコンセプトなのでしょう。
タイムスリップものや旅行記モノにあるような、いわゆるカルチャーギャップコメディの一種。

そのカルチャーギャップコメディにのせて、ティアの成長を見守るという物語進行。
自己評価の低いヒロインが異分子の影響を受けて、次第に自尊心を身につけゆく。
テーマの設定がシンプルでわかりやすい!
『笑顔の仮面』に象徴されるのはティアの『姫』という肩書き。ラストシーンp.265の「治外法権」ネタで、かなり上手く落ちたように感じました。

アリーシャの味覚についての謎解きシーンは、最初の牢獄シーンが対になっていてよかったです。彼がそうだったように~というのはかなり納得。

もう一度いいます! 嫌いじゃない!
……ですが、擁護できない部分も多々あるというのが残念なところ。

日本文化を異世界にもってくるシュールさを狙っているのはわかります。
読者を日本人に狙いを絞っているからこその意図だというのもわかります。
ですが!
シシオドシの登場は唐突にもほどがあります。ああいう使い方をするなら、序盤中盤で出しておかないと駄目です。料理や服に関しても、物語で重要な役割を持たせるのであれば、きちんと序盤中盤で布石を置いておかなきゃアウト!
初っぱなのシーンで入れるのが難しければ、要所要所で、主人公が元の世界である日本を回想するシーンを入れれば済む話だったんです。女子にモテたくて身につけたはずのスキルのせいで四苦八苦するおもしろエピソードなんて、この作者さんならいくらでも入れようがあったと思います! 冒頭の裁縫部のエピソードが笑えるだけにもったいない!
物語上新出単語がなんの説明もなくしかも終盤重要な役割を持って登場するのは、一本の作品として駄目!

初っぱな、
現代日本にて、その後一切出てこないクラスメイト達との会話→公園→唐突な爆発→気付くと異世界→騎士に槍で突かれる
というのが第一章始まる前に一気に語られます。
荒唐無稽はいいんです! お馬鹿なノリでもいいんです!
しかし!
せっかくなんの能力も持たない主夫な主人公が魔法と剣の世界に転生した(しかも王国の城内)にもかかわらず、本作ではあっという間に姫の側近さんに受け入れられて庭師という立場に落ち着いてしまうのです。
この「立場が序盤にさっさと落ち着いてしまう」問題のせいで、主人公ダイチくんの「元の世界に帰りたい」という目的が、まったく危機感をもって感じられない。さらに、「これから面白くなりそうだ!」という読者側の期待まで削がれてしまいます。
p.43
「帰りたい、けど死にたくない!」「俺は命の危険が無いと保証された状態で行動を起こしたいと思います!」
主人公の情けない台詞はギャグとして笑えます。作り手の割り切りもわかります。
でも!
だったらその「命の危険が無いと保証された状態」にもかかわらず、「命の危険にさらされる以上の逆境」に陥るというような展開がないと、ギャグのフリだけやってオチのない、やりっぱなしに見えてしまいます。

側近やティアがあっさり異世界人認定しているところも少しひっかかる。
本作では「異世界から飛ばされた。侵入者ではない」と弁明するシーンをカットしています。
口で説明しただけで信頼を得られるほど彼の話術は巧みなのか? それとも異世界からの来訪という事態がそれほど驚くに値しないことなのか?
そんな疑問にくわえ、
p.85「君の身の上を知っている私には」
という側近さん。いやいや、あなた、知ってるんじゃなくて思い込んでいるだけでしょう!?
「~っぽい」という不確定要素だけで異世界人認定してしまうのは護衛としてどうなのか。と、首をひねってしまいます。

p.276
最終パラグラフの締めの行。
『救世主』じゃなくてそこは『軍師』でしょう!?
しまりが悪いと感じました。
『軍師』って単語が独特で出しにくいのはわかるのですが、そこは外連味でなんとかなります!
ここで嘘がつけないようなら『軍師』って単語のチョイスが失敗です!
『救世主』に『オカン』ってルビ振る方がまだマシです!

そもそも、
タイトル『異界の軍師の救国奇譚』の時点で『軍師』に『オカン』ってルビ振っておいた方がよくないですか?


主観:(+)

オススメ度:C


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